最近では奈良市音楽療法推進室と奈良教育大が共同で研究した認知症の音楽療法が、患者に効果を上げていることが分かりました。認知症の予防や治療に効果があるとされるホルモンの分泌が音楽療法により促進されたというデータも取れたようです。
この音楽療法に使う曲はすべての患者になじみのある歌として、「花」や「ふるさと」など童謡や唱歌。また実験後もこの音楽療法を月に一、二回続けたところ、会話ができなかった患者が思い出話を始めたり、徘徊がなくなって、夜ぐっすり眠れるようになったほか、みな生き生きとした表情をするようになったといいます。
このように、認知症のお年寄りに対する音楽療法はある程度の効果があることが立証されていますが、実際には在宅では対応できていないのが現状です。地域や家庭で取り入れやすいよう、音楽療法を指導する場などが今後求められていくのではないでしょうか。活動としては
・研究大会等の開催・研究誌の発行
・音楽療法に関わる国際交流事業・国家資格制度化の促進
・本学会独自の音楽療法士の認定・音楽療法士の養成・研修に関わる講習会等の開催
などが挙げられます。音楽療法学界にはこれまでは日本バイオミュージック学会と臨床音楽療法協会の二つがあったのですが、それを一つにまとめたのが日本音楽療法学会です。よって構成員はその二つの会員がそのまま移行する形となります。会員数は2000年12月時点で4596名にのぼります。
日本の音楽療法学界の抱える課題はまだまだ多いので、今後、日本音楽療法学会がそれらの解決に取り組んで行くことが期待されます。人間の耳から入る聴覚情報は、感情をつかさどる脳の扁桃体に直接刺激を与えることが分かっています。ですので障害児達が言葉は理解できなくても、音刺激で彼らの情動に働き掛けることで、彼らが本来持っている機能を高めたり生活の質を高めることが音楽療法の目的と言えます。
障害児に対する音楽療法で使われる音楽は、特別なものではりませんが、子供たちが受け入れやすく、音の構成が簡単で歌詞が短い童謡が適していると言えるでしょう。人間は胎内にいる時から聴覚の発達が始まっていて、母親の声を認識していると言われます。赤ちゃんが安心感を覚える音や音楽は胎内での環境が左右しているのではないでしょうか。さらに、遺伝情報として両親から受け継ぐことも考えられるので、障害児に対する音楽療法では、対象者のバックグラウンドの音楽を探ることも大切でしょう。
では実際に気持ちがリラックスできる音楽とはどのような音楽なのでしょうか?
自然界には人の心を癒す「1/fの揺らぎ」と呼ばれる特有のリズムがあります。それは生物にとって生理的に心地良い周期だといわれています。人間も同じで、「1/fの揺らぎ」のリズムを受けると精神が安定し、やすらぎを得ることができます。20世紀になって、特定の音楽にこの効果が認められ脚光を浴びました。例えば、モーツァルトなどのクラシック音楽です。
クラシックのほどとんどの曲には「1/fゆらぎ波」の波動が含まれており、それを受けることによって脳から大量のアルファ波が出て情緒が安定します。またモーツアルトの他にも、川のせせらぎ、波、風、小鳥のさえずりといった、自然音を録音したネイチャー・サウンドにも「1/fゆらぎ波」が含まれています。
クラシックや自然音のCDなどはたくさん販売されていますので、そういったものを上手に利用しながら、受動的音楽療法を日々のストレス解消に取り入れてみるのも良いかもしれません。
